税務ニュース
2015年07月の税務ニュース

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2015年07月の税務ニュース

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金融商品に関する税金について(その2)

証券会社等で上場株式等を売買する場合の特定口座を選択することによるメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

特定口座には『源泉徴収ありの特定口座』と『源泉徴収なしの特定口座』があり、どちらかを選ぶことになります。どちらを選んでも、特定口座を利用して売買した場合は、証券会社が1年間分の取引の損益を集計した「年間取引報告書」を作成し、翌年の1月までに送付してきますので、この年間取引報告書を確定申告書に添付することにより簡単に申告ができます。自分で取引記録から集計して譲渡利益や損失を計算する必要がないので便利です。

『源泉徴収ありの特定口座』の場合のメリット

更に、『源泉徴収ありの特定口座』の場合には、確定申告をしなくても良いなど、次のようなメリットがあります。

  1. 源泉徴収のみで課税関係が終了します。
    銀行の預金利息のように源泉徴収のみで課税関係を終了でき、確定申告する必要がありません(損失を繰り越す場合等には確定申告をする必要があります)。
  2. 口座内で自動的に源泉徴収または還付されます。
    売却の都度、損益計算が行なわれ、所得税および住民税が利益の場合には源泉徴収されまた損失の場合には還付されることとなります。
  3. 配当等も自動的に損益通算され還付されます。
    源泉徴収ありの特定口座に受け入れた配当等は、同じ口座内の上場株式等の売却損と損益通算され、配当等から源泉徴収されていた所得税および住民税が自動的に還付されます。
  4. 口座内の売却益や配当等は、合計所得金額に含まれません。
    配偶者控除や扶養控除等の適用が受けられるかどうかの判定をする際の合計所得金額に含めなくてもよいことになっています(確定申告をすると合計所得金額に含まれます)。
  5. 『源泉徴収ありの特定口座』を選べば申告が不要になります。
    平成28年からは公社債等の利子、分配金および譲渡(償還)損益も申告分離課税(上場株式等の売却益や配当等と損益通算が可能となります)となり確定申告が必要になりますが、『源泉徴収ありの特定口座』を選べば申告が不要になります。

サラリーマンや年金受給者で次のような方は、注意が必要です。

特定口座にすることによるデメリットはあまりないようですが、サラリーマンや年金受給者で次のような方は、注意が必要です。

年末調整により確定申告が必要ないサラリーマンや公的年金等の年間の収入金額が400万円以下の年金受給者で、その他の所得の合計金額が20万円以下の人は、確定申告が不要です。しかし1年間の売却益や配当等の合計金額が20万円以下の場合でも『源泉徴収ありの特定口座』を選んでいた場合は源泉徴収されてしまいます。20万円以下は申告義務がないのですが、特定口座で源泉徴収された所得税等は還付申告をすることはできません。

1年間の利益が20万円以下の上記のような場合を除けば、年間の売買損益の集計などの面倒が省けて手続きが簡単なことや、売却益や配当等を合計所得金額に含めなくてよいことを考慮すると、源泉徴収ありの特定口座が有利なように思われます。

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